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タコカバウータン

えらそうなことを言っていても気が小さいです。褒められて伸びるタイプです。

正藍型染師田中昭夫展ツアー

文化活動

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ちょっと異色のモダンな柄ですけれども、今回見せていただいた中でも特に好きでした。古典的な柄ももちろん素敵なのだけれども。

 

行ってきました、田中さんち。

天然の藍だけを用いた「正藍型染」の匠。

今回の展覧会を機に引退されてしまいます。

やはり、頑固一徹の怖いお爺ちゃんなのかな。ドキドキ。

 

まずは川口市立アートギャラリー・アトリアへ。

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田中さんのお仕事を紹介するビデオ鑑賞。

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気が遠くなるような、細かい、細かい、面倒くさい(ゴメンなさい)作業と

力仕事、力仕事、てえへんだーっ。

 

12時に集合がかかって、型染め作家の津田千枝子さんによる

田中さんのお仕事、技法の丁寧な説明、

さらには展示品(作品だけでなく道具類も多数)の解説

それから、津田さん所有の田中さん作品の鑑賞

(展示品と違って触ってもいいのです、撫で撫で。)

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染める生地の見本、津田さんが田中さんに師事して型染めを学ばれた際のノートなども。

 

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離れたところから見るとウールかと思うほどしっかりした生地。

藍色の深さに吸い込まれそうです。

 

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古典的な柄も素敵

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和にしてモダン

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めくるめく〜

 

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粋だね

 

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スコットランド人も羨む

 

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涼しげな浴衣になりそう。でも、美人しか似合わない気がする。

 

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こんなご本も出されていたのだ。

 

そして、いよいよ、70人前後もいようかという参加者は

バスに分乗(市バスですけど)して田中さんちへ。

 

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板場です。天井に長板がずらり。

震災のときにはこれが全部落ちてしまって

もし、そのときここで仕事をしていたら

田中さんの命はなかっただろうと。

いやはや、よかた、よかた。

 

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「ややこしいこと始めちゃって」とご本人が語る広巾の型紙。

型紙を眺めるだけでも精緻なお仕事にうっとりだす。

 

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思い切って「広巾の布っていうのは何に使うんですか」

と何にも知らない私が尋ねてみますと

田中さんはにっこり「何でもご自由に〜」

 

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長板を支える馬(支柱)も手作り。(質問しました。)

膝上五寸が作業して行く上でもっとも腰に負担のかからない高さなので

職人の背丈によって全部高さが違い

職人さんがたくさんいた頃にはいろんな高さの板がずらり並んでいたそうです。

 

でスゴいのが、この長板7mの両面に布を張って

型をあて、色を入れたくない部分に糊を置いて柄を作っていく

その作業を繰り返して濃淡を描いていくわけなのですが

30キロにもなるという、その7mの板を

体に触れないように持ち上げて

ここ↓

 

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まで持ってきて(写真左側の建物が板場)

この ↓ 仕切りのあいだに差して乾かす!

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ただ差すだけですよ。中心ぴたっとあってないと絶対どっちかに倒れて

倒れたら細かい作業のすべてが水の泡だ〜。

ま、田中さんはそんなどんくさとは無縁なのでせうが。

しかし、そりゃ引退するよな、79歳。

ただでさえたいへんな作業なので

板場からまっすぐ歩いて最短の場所に計算して

この干場(?)が作ってあるのだそうです。(津田さん談)

 

あと興味深かったのが糊作りのお話。

これも私が質問した(てへ)のですが

田中さんは糊も自分で作ってらして

藍染めというのは糊がしっかりしていないときちんと柄が出ない

でも、主材料になる餅米の性質が袋ごとにいちいち違うので

うまくいかないときには3分の1くらいは捨てることになってしまうのだそうです。

 

板場では本来入り口からの自然光だけで仕事を進めていくそうで

怠け者の私はすかさず「じゃあ、雨の日はお休みですか?」

と、「干せねえしな。曇りぐらいだとやるときもあるけど

湿気で糊が落ちてしまって、やれねえときが多いな。(なんと繊細な仕事!)

ほんと、俺らの仕事は天気仕事だよ。染めのほうは雨でも関係ないけどな」

 

このあたりで第2便のバスでいらした方たちと場所交替。

上の写真のお気に入りの干し台(?)のあたりで

津田さんにお話をうかがっていたりするうちに

藍場へ移動となりまして……

 

真ん中のちっちゃい丸いところ(四角い蓋がずれている)

あそこに火が入っています。

なので藍場はちょと燻される感じ。

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常に藍の温度を20度くらいに維持しておくために

気温の低い時期には火を入れるのだそうです。

 

ここでも私は巧みな位置取りで田中さんのお隣に!

(ちょっと私ばっかり、悪かったかなあ。みなさん、すみません。)

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田中さんがしきりに強調した泡問題。

糸染めなどではドボンと布をつけ込んで

泡ぶくぶくが藍がたっているように言われるけれども

型染めの場合は泡があると泡に弾かれて布に藍が入っていかない、むらになる

だから泡はたってはいけないし、こんなふうに少したっても

しばらくしたらすぐにすっと消える状態でなくてはダメなのだそうです。

そこにすーっと布が入っていかないとダメなんですね。たいへんだな。

 

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これは広巾用に特別にステンレスで作った龜だけれど

もう体力的に無理(すべての作業がさらに重い)なので

藍が入っていません。

 

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サービス・ショット、田中さんの足。

 

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藍場。

 

ここでいちばん印象的だった話は

どんだけ俺らががんばっても結局は布がよくなくちゃいい染めはできない。

綿が完熟してなきゃダメなんだよ。

生産者にがんばってもらわないと。

 

綿完熟、人生で初めて聞いた言葉です。

深い。

 

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藍場の外。右は井戸かな。

左は染める前の布をぐらぐら煮る釜だと思います。

煮ては水にさらすを3回くらい繰り返して

布が藍をはじかないようにするのだそうです。

 

仕事場見学が終わると、お楽しみ展示即売会!

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美しや〜。

か、悲しいかな、着物を着る習慣のない私は

反物を買ったとしても、どう使っていいかわからない〜。

ま、そもそも、破格のお値段(田中さんが20年くらい前につけたまんま)とはいえ

やはり反物となると、そう簡単に買っちゃおと決断できる価格ではないのですが。

でも、田中さんの作品のそばにいたいよな〜。

 

けっこうじっくり見させていただいて

楽しかったです、ありがとうございました、と退散。

生徒志願者に「教室なんかやったら俺死んじゃうよ〜」と笑ってらっしゃる田中さんに

「長生きしてください」とお別れしました。

 

その後、友だちと3人で川口駅前でなぜか博多的居酒屋。

けっこういいお店でした。

そして、 

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お土産に川口名物太郎焼。

回転焼きの皮をうんと薄くパリパリにして餡子をたっぷし。美味しい。

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左の犬が太郎らしいです。写真に名前が張ってあります。&招き犬ですな、これは。

 

さて、私が何ひとつ買わずに展示会を乗り切れるものでせうか。

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巾着です。紐はダメっなやつなので隠しています。

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指で押さえてまで見せたいのは「田中昭夫」の〝昭〟の字と屋号〝紺定〟

ムフフフフ〜。素敵な紐をつけなくっちゃ。

悩むっ!