タコカバウータン

えらそうなことを言っていても気が小さいです。褒められて伸びるタイプです。

ふつかで4本映画を観た

 そういうのはだいたい仕事がらみです。

 まずは仕事で必要でなければお金出して(配信で¥324 吹き替え版しかないところが多かったし、なぜか字幕版のほうが配信料が高かったりする。)観 ることはなかっただろう『アラジン』

 

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 よくできているといえばよくできている。息をもつかせぬスピーディな展開で、とにかく飽きさせない。けどさあ、なんか何もかもアメリカン・エンターテインメントなんですよね。ジーニー(ランプの魔人なんか特に。ロビン・ウィリアムズ好きだけどさあ。なんかほんと、異文化というのがごくごく表層の趣向でしかない。じゃあ、アラビアン・エンターテインメントってどんなだよ、と言われたら、まあ私もわからんわけですけど。でも、全世界が鈍感にアメリカン・テイストで塗りつぶされていく不快感。

 強いていえば、ヒロインが典型的なお姫様タイプじゃなく、お色気むんむん露出度高しなのが従来のディズニー・アニメと異なる点かもしれないけど、お姫様が飲み屋のねえちゃんみたいって、アラビアの方々が観るとむしろ不快なのではないだろうか。あれはベリーダンスとかをする人のいでたちであらう。

 あと、ジーニーにお願いの3つのタブーが殺人・恋愛の心理操作・死人の蘇生というのにがっかり。「死人がよみがえっても気持ち悪いでしょ?」全然。

 主題歌はアカデミー賞を取ったらしい。アカデミー賞、趣味悪っ。

 ちなみに昔テレビで『可愛い魔女ジニー』というアメリカのコメディ・ドラマを放映していて、私は『奥様は魔女』より断然こっちが好きだったのだけど、みんなジニーって呼んでたし、てっきりそれは魔女の名前だと思っていたよ。ジーニー=ランプの魔人と知ったのは数年前、たぶんこの映画のおかげですね。ちなみにちなみに、『可愛い魔女ジニー』の原案・脚本・制作 シドニー・シェルダンだって! びっくり!

 

こちらも仕事がらみで再鑑賞の『ヤング・フランケンシュタイン』。やはり配信。やっているのは密林のみ。

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  過去におそらく2回は見ていると思うのだけれど、今回これはやはり圧倒的に、アイゴールのマーティ・フェルドマンの映画だなあと。めちゃ可愛い。塾のNさんがお茶目になるとちょと似ていると思うのだけど、これは絶対言っても喜ばれないなあ。可愛いのになあ、アイゴール。マーティ・フェルドマンは50歳にもならないうちに亡くなっているのですね。R.I.P.

 

次はケーブルTVで放映したのを録画。高校生のときに観て大好きだった。『ジェレミー』

 

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断りのテロップも流れたけど、かなり画像が悪かった。

中古ビデオが2万円以上しているという話もあるし、

ま、観られただけでよしとしませう。

 

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なんかガンガン写真を拾ってきてしまう。

 

昔観て好きだった映画って

それこそまだビデオもなかった時代だと

(年がバレバレですけど)

一回しか観てないんだよね。映画館、それもたいていは名画座で一回きり。

次いつ観られるか、わからないというか、たいていの映画は一回しか観られないから

観るときの気合は明らかに違っていたなあ。

好きな映画をもう一度観るときなんかだと、もう覚えようとしていたし。

映画を自分のものにできるなんて、夢みたいなことだったのですよ、昔は。

 

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 で、『ジェレミー』なんですけど

私は昔から一貫して、こういうぼーっとしてちょっと変わり者で心のきれいな男の子が好きなのだ。

 しかし、恋愛映画としては驚くほど障害のない話です。チェロ少年ジェレミー(競馬好きで予想的中率100%を誇るも決して賭けません。バスケも好きっす。)の恋は、一目惚れ相手の女の子もそこらのミーハーと違って、ジェレミーの真価をたちまち理解、へんてこもおもしろがってくれて順風満帆。これではブレイク・スナイダー(私が訳している有名な映画脚本術の本の著者です)的にどうよ、と思っていると、結末突然、障害っつうかなんつうかもうで別れが……。べそかきながら去っていくジェレミーの姿に、私があまり気に入っていないテーマ曲がかぶさって……完。

 

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 初恋映画の傑作みたいな評価もあるようですけど、なんか今回観て、これってほとんど〝ジェレミーっておもしろい男の子がいるんだよ〟って映画だったなあと。初恋相手の女の子って、恋にドキドキ不器用なジェレミーの可愛さを描く装置みたいな。ま、タイトルからして『ジェレミー』ですから。もてないオタクを装いつつ、なんか実は大人気だな、ジェレミー。ま、私も長年ずっと好きだったわけで。

 あ、私これまだ絶対パンフレット持ってる! と急に思い出す。


Jeremy (1973) The Hourglass song (Homokóra-dal ...

予告編ではなく、映画の冒頭4分間ほど。このテーマ曲が甘ったるくて、ちょいクサいと思っていたら、なんと主役のロビー・ベンソン君の弾き語りらしいです。すまん、悪かった。本棚にエミリー・ディッキンソンの詩集があるのが素敵。

 

最後はこれまた仕事で必要で観ました。『ダークナイト』配信。iTunesだと字幕版は¥400なので(!?)字幕でも¥300の密林で。

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ダークでした。ダーク過ぎやろ。

完全に主役を食ったヒース・レジャーですが(ブルーレイのカバーもヒース単独だし)、けど、ずっとこのメイクだから、実はあれヒース・レジャーじゃなかったって言われても、わかれへんやん、とかしょうむないことを考えてしまいました。

 あと、ゲイリー・オールドマンが普通のおっちゃんに見えるのに衝撃! いやいや、いつか化けの皮がはがれるぞ、こいつ、シド・ヴィシャスのくせに、『レオン』の悪行もこちとら忘れてないぞ、とずっと疑心暗鬼の私。でもすごいよなあ。年を取ったとはいえ、あんだけお色気むんむん君が、セクシー完全消去。こういうお色気の出し入れをできる人はすごいと私は思います。三浦春馬とか。ってゲイリー・オールドマンと並べてしもうた。

 しかし、この邦題、ちょっとひどすぎやしませんか。

ダークナイト とカタカナを並べられて、瞬時にナイト=騎士と思う日本人ってどんだけいるんでしょう。前作とかバットマンに詳しいとかでわかるわけ? せめて暗黒騎士でルビふるとかくらいしたらいいのに。なんかやる気あんのかーと、故ヒース・レジャーに代わって怒りたくなります。

 これで思い出すのがアン・リーの『ラスト、コーション』。これがまた救いのない映画だったけど(作品のできが悪いという意味ではなく、ストーリーにほんと救いがなくて、この人の人生って……となる)、カタカナで〝ラスト〟と出されて lust =色欲、性欲とピンとくる日本人って何%だよ。原題『色・戒』のほうがよっぽどわかりやすい。なんなんでしょう、これ。トニー・レオンも気づいたら怒るぞ。

 思えばアン・リーは『飲食男女』も邦題『恋人たちの食卓』にされたんだよね。私はあの映画を絶対邦題では呼びたくないです。誰か、アン・リーにチクろう。

 

 とのびのび脱線して終わりまする。