タコカバウータン

えらそうなことを言っていても気が小さいです。褒められて伸びるタイプです。

働く女子の運命

働く女子の運命 (文春新書)

 

塾の課題です。

提出したものは↓

 

永久女子的労働  

インドネシアの電気も水道もない小さな島でひたすら海に潜っていたときに出会った、フランスはボルドーのゴミ収集人(ジュード・ロウみたいなすごいハンサム)は、有給休暇が年間8週間!「アキコ、モザンビークのダイヴィングもなかなかいいよ」と優雅にのたもうた。オランダ人やドイツ人には「給料を上げるか、休みを増やすかで、休みを増やすほうを選んだ」という人が何人もいた。世界中の人があまねく、せめて年に一度は2、3週間単位のヴァカンスを取れるようになったら、世界はもう少しギスギスしなくなる気がするけど、実際そんな人今、世界の労働人口の何パーセントくらいなのだろう。

 濱口桂一郎『働く女子の運命』のタイトルには、日本女性は会社の中でどれだけがんばってもしょせん〝女子〟扱い、の意が込められているのか。イチオー、平和で民主的な国に生まれ育ったつもりでいたら、1954年の近江絹糸の人権争議の際の女工を中心とする組合の要求項目は「結婚の自由」「外出の自由」「仏教の強制絶対反対」「信書開封、私物検査の即時撤廃」「文化活動の自由」……、これじゃついこのあいだまでほぼ奴隷制じゃん、と思い知らされる。 

 女房、子供を養うことを前提とした終身雇用の年功序列。家族的経営と言えば聞こえはいいが、家族は24時間365日家族だ。すべてを会社に捧げる覚悟の者以外は、給料が上がらないうちに去れ。かくして女性は男性化しなくては企業の中で重要なポストを占めることはできず、さらにせちがらくなった昨今では、旧来女子部門であった一般職は派遣にアウトソーシング。正社員の年功的昇給はやめるけど、24時間戦わせるのはやめないよ。正規も非正規も、男も女も、ハゲタカ資本主義の下で青息吐息。明るい〝女子の運命〟を提示できないまま、本書は終わる。  

 近頃はいい年したオバサンが自分のことを女子、女子言って、いい年したオバサンの一員である私はあれはみっともない、やめとこと思うのだが、思えばあれも会社でずっと〝女子〟をやらされていた後遺症かもしれない。みんなオッサンが悪いのだ。

 

 読んでまあ勉強にはなるのですが、はー、そーっすかー、みたいな本で、正直書きにくい中、唯一のひっかかりがタイトルのなんでわざわざ〝女子〟? 流行に乗っかり?  だったんだけど、そもそも〝女子労働〟という用語も定着しているそうで、じゃあ、〝男子労働〟って用語あるのか? フェミ嫌いは〝婦人問題〟とかも使いたがるけど、学生時代、民青女子(基本ダサい)はそう言っておった記憶があるけど、そして対抗勢力の新左翼女子は〝東南アジアの女性労働者との連帯〟ばっかり言っており、絶対、小娘が何ぬるいこと言ってやがるって、東南アジアのバリバリ労働者からバカにされてるぞ、と思っていた私だったが、〝婦人〟の対語って何? ウェブで調べたら〝殿方〟(!)しか出てこないぞ。〝殿方問題〟〜笑える〜。男流文学もびっくりだぁ。ことほどさように言葉遣いの鈍感さだけでもう、日本の女性の置かれている状況が見えてくる気がいたします。男の腐ったようなヤツ(権力志向ばりばりのガサツ鈍感猪突猛進24時間働きますっ!)しか出世できんぜ。

 で、「みんなオッサンが悪いのだ」と書いてみたかっただけ。

 

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