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タコカバウータン

えらそうなことを言っていても気が小さいです。褒められて伸びるタイプです。

日常生活の肖像 非日常が日常の人 派遣添乗員Sさん

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インタビュー塾の課題です。

プライバシー保護のため、提出したものに少し手を加えました。

 

非日常が日常の人

 

 ♪出発前

 ツアーは通常8日間がいちばん多いです。長いのだと3週間くらいのもあるけどね。  まずは打ち合わせだけど、今メインの会社だったら出発の3営業日前。午前中、前の仕事の精算をして、午後、打ち合わせで初めてお客さんの名簿などの資料をもらいます。で安心コールといってお客さまに電話をする。お世話になっております。今度ご一緒させていただく添乗員でございますって。打ち合わせはだいたいそんなもん。仕事の依頼は約1ヶ月前だから、下調べとかが必要な場合はそのあいだに。

 

♪出発

 今、空港でのチェックインは個人だね。受付して今後の流れのプリント配って、チェックインしてもらう。

 今私たち時給なんですよ。労働時間をきっちり管理するってことになって。でも、時給にしたらいきなり給料が跳ね上がったんじゃ会社も困るんで、飛行機に乗ってるあいだは時給つかないことになって。拘束されてるのにって不満もあるけど、しかたないかなと。

 ただ、そんなのお客さんにとっちゃ関係ないよね。しかも今のメインの会社は添乗員のランク、成績はアンケート評価で決まって、それがしっかり給料に反映する。仕事量にも影響するから、自腹切ってお客さんにプレゼントあげたりする人もいるんだけど、私はキャラ勝負ということでお金は使わない。でも、人間の仕事だからさ、今時給外だから口きかないってわけにはいかないよと。

 機内では、昔はねー、とっとと寝ろって感じの指示だったの。次はお酒は慎め。その次はお酒は飲むなに変わって。まあ要は苦情がなければOK。だから1回の酒が命取りになる人もいれば、酔っぱらってお客さんに起こしてもらってもなんでもない人もいる。会社にもよるしね。服装もすごく厳しいとこもあれば厳しくないところもある。ま、どこの会社も長くやればやるほど楽になってはいくね。

 

♪到着

 目的地に到着。バスが来ます。でみんなでホテルにチェックイン。ヨーロッパだったら当日はホテルに入っておしまいかな。早い飛行機だったらホテルに入ったあとにスーパーマーケットへご案内。みんなスーパー好きなんだもん。連れてけって言うんだもん。

 ヨーロッパの場合は通常その日は観光は組まない。ただ夜便の場合は朝着くから、そのまま観光だったりしてハード。

 

♪旅の1日

 人件費の安い国ではスルーガイド、ウェルカムからバイバイまでずっと一緒のガイドがいます。日本語もしくは英語のガイド。ヨーロッパの場合はほとんどがスポットガイドで、観光の場所にしかいない。タイムカード的に言ったら、朝ご飯をケアするならそこから、出発からなら出発時間から、添乗員の仕事が始まる。

 移動はほとんどバス。私が受けるツアーはだいたいフリータイムがないのが多い。あったとしても昼ご飯から夕ご飯のあいだに2時間とか。たいていは夕ご飯を食べてからホテルにチェックインで、ご飯が6時より早くなることはないでしょ、日本人の感覚として。そうすると、6時半、7時、遅いと8時。ホテルでご飯食べるのは高くつくんだよね。

 毎日だいたいそんな感じで、お客さんと3食をともにしてます。8日間のツアーだったら行き帰り1日づつは飛行機だから、6日くらいはそういう生活が繰り返される。

 夕ご飯終わってホテルに入ったら自由ですね。だから仲のいいガイド呼び出して飲みに行くときもあれば、出かけたりもする。何かしちゃいけないってことはないけど、やっぱり携帯電話は持ってるね。夜中気持ち悪くなったりする人もいるからさ。

 旅行中はあんまり寝ない。4時間、5時間かな。昔はほとんど寝れなかったし食べれなかった。緊張してたんだね。でも、ここ3年ぐらい、寝れるように食べれるようになったから、もうものの見事に太りましたね。(笑)

 

♪添乗員の仕事

 ヨーロッパってドライバーの拘束時間がすごく厳しくて、エンジン入れてから切るまで12 時間超えたらバス動かせなくなっちゃうのね。しかも、12 時間、間隔あけなきゃいけない。お客さんにしたら、なんでこんなに急いでメシ食わせるんだってなっても、大人の事情ってことだよね。だって、高級なツアーなら、お金払ってお迎えに違うバス呼べばいいんだもん。そういうところの時間管理が私たちの仕事。

 ひとつ遅れたらバタバタっと全部狂っちゃうから、旅程時間設定が腕の見せ所。早すぎてもダメで入れなかったりする。お客さんに好かれるなんてことより、募集パンフレットに書かれているサービスをちゃんと実施するための管理だね。タイムキーパーみたいな感じだから、自分に合ってるかもと思う。行くはずのとこに行けなくなると、これは旅程保証で補償金が発生するから。

 

♪楽な仕事、きつい仕事

 フリータイムいっぱいのツアーだと、もうぼーっと、なんもしてませんよ。お客さんの人数でもえーらい違う。仕事をもらった時点でツアー自体が楽かどうかはわかるけど、人数はギリまでわかんないし。

 あと、今回お客さん10 人で旅程もゆったりでラッキーと思っても、ひとりおかしい人いたらアウトだし、誰かウンコもらしちゃったらアウトだよ。(笑)裁判になっちゃうんだから。人から聞いた話だけど。

 いちばんラッキーなパターンは、ゆったりツアーの少人数。高ければホテルもいいとこ使うから不備もない。8日間全食ついて15 万のイタリアツアーなんて言ったら、まーチェックインして半分以上は何々がない、何々が壊れてるで、私が部屋に入れるのは2時間後だから。

 バス移動だと5時間だけど、電車だったら2時間とかね。電車高いじゃん。イタロ新幹線で2時間でぴゅっと着くのが、バスだったら5時間かかるから、その分着くの遅いし、ご飯も遅くなるしで、そりゃ疲れるでしょ。

 あとーやっぱり、いちばん精神的にきついのは人かな。毎晩私を呼び出して、廊下で説教するオバさんがいて。15 分から最長2時間。あの人の部屋があそこでなんで私がここなのよーっとか、廊下でずっと怒鳴るの。 あとは話してる最中に急に立ちションする人とか。お客さん同士がもめるのもキツイね。怒鳴り合いの喧嘩始める人もときどきいるよ。

 

♪旅のトラブル

 私はアクシデントが少ない方で。天候不良で飛行機が着陸できないとかはあったけど。あと、ドライバーが道を知らないっていうのはねー。(笑)安いツアーだと、スロベニア人とか来るんだよ。あの人たちあくまでもユーターンしないから、間違い認めないからね。10 分後くらいに急にたら〜っと汗かいて、歌とか歌いだすから。ナビから目的地消えてんじゃんって。(笑)

 ドライバーはさ、行けないとは絶対言ったらダメじゃん。でも1回だけ、ごめんなさい、わかりません、ここで降りてレストラン探してって歩かされたことがあった。全員降ろされて、人に道訊きながら、私もうわなわなしてて。そのドライバー、何回っもミスっててさ。お客さんもわかってるから、Sさん今の感想は、って訊かれて、時間が時間なんで営業さんに許可は得てませんが、今日はみなさん好きなだけ飲んでくださいって。(笑)

 

♪帰国

 3営業日以内に報告と精算。

 基本的に打ち合わせ、精算以外は日本にいるあいだは休みだから、もうぐちゃぐちゃ。体にはよくないと思う。時差ボケ解消の努力がストレスになっちゃったから、好きなときに寝て好きなときに食べるようにしたら、いっそう戻らなくなっちゃった。(笑)枷がないのと、枷しかないのとの繰り返しだね。

 でも、まだ飽きはこない、楽しくやれる。まだ大丈夫。理想としては、英語をもうちょっとなんとかしたい。もう少しゆっくりしたい。今はもってるけどいつか体力が続かなくなるだろうなと。時差がきついし、帰りは絶対夜便になるから、月に2回、椅子で寝て、まともに睡眠取れないっていうのがね。

 

♪日常と非日常

 人に楽しんでもらうのが仕事っていうのはいいなって。私にとっては日常だけど、絶対に日常にしちゃいけないなっていうのはある。日常にすると手抜くし、日常感がきっと出ちゃう。お客さんにとっては非日常の晴れの舞台だから、何回見てるものでも一緒に驚かなくちゃ。その人たちに見せるのは初めてじゃん。それでテンション上がるでしょ。やー、きれいにマッターホルンが見えました! それはウソじゃないね。その気持ちを忘れている人はいっぱいいるだろうけど、忘れない方が楽しいね。