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タコカバウータン

えらそうなことを言っていても気が小さいです。褒められて伸びるタイプです。

これからのマルクス経済学入門

これからのマルクス経済学入門 (筑摩選書)

 

もち塾の課題です。

提出したものは ↓

 

マルクス経済学はつらいよ

 

  苦悶読書。松尾匡・橋本貴彦著『これからのマルクス経済学』。それでもなんとか読み終えて、いかんこれではマルクス嫌いになっちゃう、とうちにあった内田樹石川康宏著『若者よ、マルクスを読もう 20歳代の模索と情熱』で口直し(失礼)。果敢にも略称『これマル経』の再読に挑む。

 初回、私の中に渦巻いた思いは、弁解かよ、まどろっこしい、なんじゃこの用語、マルクス経済学を救うとか私ら関係ないし、などなどであったが、その底流に、ひょっとして私の頭が悪いだけ?という不安がひたひたと流れていたことも否めない。

 2回目、1、2章はそんなに抵抗ない〜。悪い頭が慣れてきたか。3章、アカン、やっぱりイライラする〜。

 略称『若マル読』にははっきりと<マルクスの経済理論や政治理論は、もう現実政治では「賞味期限切れ」だと思われています。>と書いてある。『これマル経』も<世間からは「現代社会からズレまくった一九世紀の遺物」ぐらいに思われている>と認めている。そこをひっくり返す難事業というのはわかるのですけどねえ。

 本書が使えるマルクス主義経済学概念として挙げるのが「階級」、「疎外」、「唯物史観」、「投下労働価値」。「階級」意識を持たないと不満が「アイデンティティー」方向に向かって排外主義が噴出すると著者は脅すが、今時階級意識って……あ、99%……WE ARE THE 99%(注)ならピンとくるのにね。

 「疎外」、「唯物史観」はまあいいとして、「投下労働価値」まわりですよ、私のイライラの元は。必要労働(必需品)と剰余労働(奢侈)、前者は労働者が賃金で手に入れ、後者は資本家が利潤で〜って、いくらなんでもざっくりすぎません? で、労働者が手に入れられないもののための労働は搾取。とにかく肝は労働配分なのだときて、そこから、<どうして税金というものが存在するのか、考えてみたことがあるでしょうか>とか<消費税でまかなうとすれば、それが何を意味するかわかりますか>とか、上から目線の感じの悪い文章が説くのは、税金をかけるのはその分野の消費を減らし、労働を浮かせ、必要なところへ割り振るためだと。ほんまかいな。<国が潰れることはないのですから、返済分も借金でまかなうことにして、延々と借金を膨らませて何か都合が悪いのでしょうか>って、ギリシア潰れかけてるんじゃないんですか。

 4章になると著者が交代し、数量分析で介護の人材確保も大丈夫だそうで、ほっ。社会的ニーズに答える社会システムをどう実現させるのか、その検証に投下労働価値分析は有用なのだ、<従来型の生産を維持・拡大させるために>、<労働者からすればさして必要でないものを生産している>ことを第3章では<「搾取」と呼んだのでした。>と説明して、例としてリニアモーターカー原発が挙げられる。これならすんなり納得。

 3章はなんだったのか。やはり私の頭が悪いのか〜。あと『若マル読』の説く<論理の飛躍を「違和感」としてではなく「浮遊感」として読者に感じさせるマルクスの「麻薬性」>が、本書からはまったく感じられないのが残念、というのはないものねだりかなあ。

(注)2011年のウォール・ストリート占拠の際のスローガン。

 

 

 書ききれなかった部分として、何人かの方が引用していた

<若者が身近な生活にかまけていることを見下しながら、「若者はもっと政治に関心を持て」と言うから、それを真に受けて政治に関心を持った若者がネトウヨになるのです。>(斜体部分原文は傍点)

 に果たしてそうだろうかと疑問を呈し、その前段

 与野党ともに<一人ひとりの生身の有権者の利害から遊離したところで「安保」だの「財政再建」だのと、宙に浮いた天下国家論を振り回す、悪しき作法がまかり通るようになった>

 に対して、「安保」も「財政再建」大事だし、そもそもマルクス主義者が天下国家語らないでどうする!、と批判したところ、

 先生が松尾氏の別の著書の内容を紹介されて、松尾氏いわく、自民党に勝つには自民以上の財政出動をやるのじゃ、安保だなんだ言ったって、子育て介護に疲れた人、家賃の支払いに困っている人にとっては、そんなもんどうでもいいんだ、目の前の問題をなんとかしてくれ、なんだ、と。

 で、その財源はどんどん札を刷ればいいのだと。

 私、経済学に疎いのでよくわかんないんすけど、札刷りゃノープロブレムなら、どこの国も苦労しないんじゃね?

 なんか信用できんし、庶民の立場に立っとるようでいて(階級意識ってやつですかい?)見下してる臭がするし、なんかもうマルクス主義者っつうよりマキャベリストの香りだし……。

 一方で、日本の政治状況はそこまで来ちゃってるのかいなあと、陰々滅々がふつかほど続きましたとさ。

 やはりパタゴニアで凍死か。(今まで思いついた中でいちばん痛くなくて美しげな死に方なんだけど、問題は寒いのと我が最愛の人が眠るバリや日本から遠い。パタゴニアで死んでも会えるかなあ。)

 

若者よ、マルクスを読もう (20歳代の模索と情熱)