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タコカバウータン

えらそうなことを言っていても気が小さいです。褒められて伸びるタイプです。

戦争プロパガンダ10の法則

文庫 戦争プロパガンダ10の法則 (草思社文庫)

 塾の課題です。提出したものは↓

 

無知と愚かさの時代に

 

 2011年4月10日、素人の乱主催の〝高円寺原発やめろデモ〟へ家族・友人総勢3名で向かうとき、「私たちと主催者しかいなかったりしてね、ハハハ」とつぶやいたのは私だった。ところが意外にも、高円寺駅はすでに有象無象であふれ返っていた。出発前の集会のときには、すぐそばに鈴木邦夫新右翼)がいて、ゲゲっだった。振り返ると、駅へ続く道がどこまでも人で埋まっていて、ちょっと胸がじーんとした。この日集まった人は2万とも4万とも言われているが、翌日、マスメディアは一切このデモを報じなかった。(*)私たちは完全に無視された。金曜日の官邸前抗議行動も長いあいだ無視され続けた。テレビの取材記者に、「どうせ報道しないんだから帰れ!」と誰かが怒鳴ると、「そうだ、そうだ」と声があがった。

 アンヌ・モレリ著『戦争プロパガンダ10の法則』は、アーサー・ポンソンビーの『戦時の嘘』で論じられた10項目を、近年の事例も加えつつ丹念にたどり、〝ポンソンビーの指摘した状況が(中略)現存する政治システムの中でも、紛争が起こるたびに繰り返されている実情を明らかにしていく〟。

 その10項目を1文にまとめれば「われわれは戦争をしたくはないが、敵が一方的に戦争を望み、敵の指導者は悪魔のような人間であるのに対して、われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦うのだが、われわれも意図せざる犠牲を出すことはあり、一方敵はわざと残虐行為におよんで、卑劣な兵器や戦略を用いるが、我々の受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大で、芸術家や知識人も正義の戦いを支持し、我々の大義は神聖なものだから、この正義に疑問を投げかけるものは裏切り者である」

 かくのごとくわれわれ一般人は丸め込まれ、血を流してきた。モレリは〝戦争において、もっとも嫌悪すべきものは、戦争によって生じる廃墟ではなく、戦時にあらわれる無知と愚かさだ〟というアナトール・フランスの言葉を引用しているが、私たちの国はすでに、「無知と愚かさ」の中にある。〝メディアは政治権力と密着した関係にあり、いざとなると本当の意味での意見の多様性を守ることはできない〟って、いざとなる前からもう、多様性など守る気はなさそうだし、〝ひとたび戦争が始まると、メディアは批判能力を失う〟って、戦争が始まる前からもう、批判能力など放棄だ。そして、無知と愚かさの体現のような首相が、武器商人を引き連れ、戦争に向けて雄々しく旗を振る。

 敢えて「裏切り者」、「非国民」であることしか、抵抗の道はない。「〝愛国心〟とか言うなら、地球を愛せよ」とジミ・ヘンドリックスも言っている。

 

*ひょっとしたら東京新聞は伝えたのかもしれない。

 

 

 受講生の中の70代の男性、女性、各一名が「どうせ戦争なんかなくならないのだから、日本も丸腰ではいけない。核武装すべき」と言いだして、私は吐き気に襲われ……。思えば目の前で堂々と/ぬけぬけと核武装を主張する人が出現したのは、人生初だった。そんな時代になってしまったということなのか、それとも、私が今までほんといい人ばかりに囲まれて、お花畑で生きてきたということなのか。仕事は家で引きこもりだしなあ。戦争体験のある人たちがそこから何も学ばず、堂々と/ぬけぬけとこんな短絡的な主張をすることに、心底げんなりしたし、腹立たしかった。こういう人に届く言葉を、お花畑育ちの私は持ち得るのだろうか……。