タコカバウータン

えらそうなことを言っていても気が小さいです。褒められて伸びるタイプです。

ヤクザと憲法

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 チケットをいただき、試写会に行ってきました。

 イメージをがっつり植えつけられているけれど、その実、実態を知らないものってありますよね。ああ、ヤーさん(と大阪人は呼ぶ)ってそうだなあと。

 いかにも腕力のなさそうなひょろっとした人が組事務所に取材に入っていくところから映画は始まります。事務所に住み込みの組員もいて、その人たちの部屋へも案内される。意外と本がたくさん。刑務所へ差し入れられた本も多いとか。ちゃんと持って帰ってくるんだね。取材の監督は床に置かれたバッグをの中身を組員がテントですと説明しているのに「マシンガンとかじゃないんですか?」とか言って、「ドラマとかの見過ぎちゃいます?」とたしなめられたりする。その後も飄々とした監督の大胆かつ素直な質問と、それにちょっとたじたじの組員対応が可笑しい。

 また、ある場面では、いちばん下っ端の子がどう考えても奥の部屋の中で叱られ殴られているようすだったのに、ボコボコにされた顔で現れるかと思いきや、泣きべそをかいているものの、顔には傷ひとつない。ううむ、さすがプロ、ちゃんとぱっと見ではわからないところを殴るんだなあと妙に感心。

 暴力団の顧問弁護士も登場するのだけれど、ウハウハ儲けてる悪の弁護士、ってイメージとは大違いで、むしろ弱者のために権力と戦っているという感じ。器物損壊教唆みたいな、そんなしょぼい犯罪で弁護士資格失うリスク冒すはずないじゃん、と素人でも思うような事件で有罪になってしまう。なんか哀愁が漂う。

 組の会長という人が、さすがに目つきは鋭いけれど、小柄なほっそりした人で(ポスター写真の中央の方です)、この人だけファッションセンスが子分のみなさんとは明らかに違う。60代とは思えない、でも、若作りというのともまたちょっと違うおされな感じで、ひとりフットワークも軽く、高級クラブとかじゃなくておばちゃんがひとりでやっている串カツ屋に飲みに行ったりする。親分なのに大丈夫なのかと、余計なお世話だけれども、まあ、ヤクザといってもそりゃ始終抗争ばかりしているわけでもないのでしょう。今、ちょっとまたヤバいのかもしれないけれど。

 暴対法と暴排条例でいかにヤクザが追いつめられたか、ヤクザとなると銀行口座すら作れないという現実などなど。銀行口座作れないんじゃ、なかなか社会生活送るの厳しいよなあ。ヤクザが栄え、顧問弁護士はウハウハという世界も困るけれど、〝反社会勢力〟には人権などなくていいという世の中もいかがなものか。痛めつければ都合良く消えてなくなるものでもあるまいし。

 

アフター・トークは阿武野勝彦プロデューサー、圡方宏史監督、安田好弘弁護士、宮崎学。おお、ナマ宮崎と思っておりましたが、予想と違い全然ごっつくない人で、ま、狐目だけど。プロデューサー&監督コンビの飄々としていながらも1本筋の通ったトークが楽しくも頼もしかったです。テレビって、特に報道はもうどうしようもないなあ、などとえらそうに思ったりする今日この頃だけど、こういうふうにがんばっている人たちもいるのだと思うと救われる。希望の光。がむばれ、東海テレビ

 

また、かつては貧困と差別から生れたヤクザが、今は 落ちこぼれが疑似家族関係を求めてやってくるという宮崎解説に対して、安田弁護士の、いや、落ちこぼれにはヤクザも勤まらない、朝起きられないし挨拶できないし、擬似家族なんて作れない。だからヤクザは高齢化という話が印象的だった。ちなみにこの安田弁護士、光市母子殺害事件でとんでも弁護をした人では、と調べてみたら、やはりそうでした。ううむ。

帰り道、チケットをくださったNさんともども、ご一緒したMさんに夏目漱石生誕の地へ案内していただく。早稲田のすぐそば。意外。でも、漱石が生まれた頃はきっと地名通りの田畑の中だったのでせう。それから3人でドトールでしばしおしゃべり。

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解散後、イケちゃんで軽く美味しいものを食べてワインのつもりでいた私でしたが、イケちゃんが閉まっていてプラン崩壊。西荻徘徊。どこへ行けばいいのか、いまひとつ決めかねて、お弁当屋さんに2回も入ったけど、買いたいものないし……でどこへも入らず、何も買わず家路へ向う。これからずっとこんなだよ、寂しいよ、悲しいよ、とへこたれて帰宅するも、家にけっこう食材があって、ささっと小鍋しつらえ、IPPONグランプリの録画見ながら、さらにワインだチョコだチーズだクラッカーだと、けっこう楽しいでやんの。