タコカバウータン

えらそうなことを言っていても気が小さいです。褒められて伸びるタイプです。

独裁体制から民主主義へ

独裁体制から民主主義へ: 権力に対抗するための教科書 (ちくま学芸文庫)

 

月1の塾の課題です。

提出したものは↓

 

 

それ行け非暴力!

 

 ジーン・シャープ著『独裁体制から民主主義へ』は「非暴力」闘争こそが、抵抗勢力が武力では圧倒的に優位な独裁政権を倒すための、最善の道であると説く。無力な理想主義と揶揄されがちな「非暴力」を「最強の武器」としたことが、本書のまさに「肝」である。

 シャープは独裁政権を支える〝政治的な力の源はすべて、民衆側が政権を受け入れ、降伏し、従順することによっており、また社会の無数の人々や多機関の協力によって成り立っている〟と解説。その「たが」をうまくはずしていけば政権は自ずと崩壊するというわけだ。

 そして、巻末には198もの方法が列挙され、実際さまざまな国の抵抗運動の渦中にある人々が本書を活用しているという。

 ただ如何せん汎用的な実用書ちょっと味気ないので背表紙で紹介されているドキュメンタリー映画「非暴力革命のすすめ——ジーン・シャープの提言」(注1. ネットで視聴可能)も見てみた。こちらは本書を実践し、独裁体制を打倒した成功例をいくつも紹介。シャープの理論の信奉者たちが熱くその有効性を語る。みんなもうビバ! シャープ、この理論があれば大丈夫で、ちょっと楽天的すぎませんかい。感動的な場面もあるのだけれども、調子がよすぎて微妙に共感しきれない。

 で、私たちの国は? 選挙でしかと選ばれた合法的な政権ではあるけれども、勝てば官軍やりたい放題。しばらく国政選挙がないのをいいことに、ほとんど独裁状態。ワイマール共和国の崩壊とナチの台頭の再現ドラマみたいになってきているじゃないか。一般ピーポーたる私たちは安倍政権の暴走にどうやってブレーキをかければいいのか。

 先日、東京新聞で興味深いインタピュー記事を読んだ。(注2.)「非武装日本に可能性——紛争に和解の種をまく 伊勢崎賢治さん」は語る。〝アフガン戦争で日本はアメリカの同盟国ながら、武力介入はしなかった。憲法九条のもと「撃たない自衛隊」を持っていたためだ。それが現地の軍閥に「平和国家日本」という好イメージをもたらし、日本主導の武装解除につながった。(中略)「テロと武力で敵対するのでなく、テロが生まれる根源の問題に関心を寄せて非武装で対処する。日本ならそれが可能です。それによって世界の安全保障に寄与できるし、ひいては日本の安全にもつながる。しかし解釈改憲で武力による集団的自衛権を認めれば、九条の意味はなくなり、日本の潜在能力をむざむざと消してしまう。それはアホなことですよ」〟 

 シャープの「非暴力」闘争にも通じる「非武装」の功用だ。しかし、先日の東京都知事選では、核武装を公然と掲げる田母神候補に60万票を超える票が入った。上からだけでなく足元からも、いやぁな潮流が迫ってきている。これじゃ「民主主義から独裁へ」だ。のんびりしてはいられない。のんびりしているうちに、ほんとに本書を握りしめて、命がけで独裁体制と戦わなくちゃならなくなる。


1.   http://www.at-douga.com/?p=5924

2.   東京新聞 2014215日夕刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/doyou/CK2014021502000224.html

 

いやはやホント、どうなるニッポン。って他人事じゃないんだから、自分なりの抵抗ってやつを考えなきゃいけないわけで。うぐぐぐ。