1.『秋刀魚の味』
軍艦マーチの名シーン
小津映画ってどれ観たか観てないか、わからなくなりません?
私は代表作はけっこう観ている気でいたのですが
どうも『晩春』ばっか何回も観て
『東京物語』は3回くらい観てて
『お早よう』はテキトーに観てて
『戸田家の兄妹』は機内で観ただけで
あんま観てないじゃん!
いきつけの美容院の方に
小津代表作はたいていYou Tubeで観られると教えてもらい
『秋刀魚の味』を観てみたけど
おもしろいなぁ。
大筋は娘が結婚しました、というだけの話なのに。
女優さんが、こんな人そのへん歩いてたらびっくりしちゃうよ
というくらい美しい。
会社で働いているのも美女ばかり。
岸田今日子のバーのママはお店の営業時間中にお風呂に行っちゃう。
ついこのあいだの日本が微妙に不思議で
何回観ても飽きない。
佐田啓二の「何も考えてない顔」も確認しなくちゃ。
2.『オペラハット』
田舎の市民オーケストラでチューバ担当のディーズさん。
いかにもフランク・キャプラな
まっとうでハート・ウォーミングなストーリーです。
けど、邦題がまったく映画の内容も雰囲気も伝えていない。
原題は “Mr. Deeds Goes To Town ” ディーズ氏町へ行く
で、その通りのお話です。
田舎で楽しく暮らしていたディーズさんにニューヨークの伯父さんだかなんかの遺産が転がり込んで、その豪邸に出向くと、都会のこすっからい小悪党どもが、田舎もんをカモってやろうと手ぐすね引いて待っているのですが、ディーズさんは地に足ついた良識人で、小悪党どもの甘言にまったく惑わされず、仕掛けられた罠にまったくはまらず、幸せをつかみます。めでたし、めでたし。痛快です。でも、ディーズさん、元々田舎で幸せだったんですけどね。
この映画のゲイリー・クーパーはほんと素敵。
背が高くてハンサムでまっすぐな心で賢くて大らかで野の人で。
見ているだけで幸せになれます。
3.『桐島、部活やめるってよ』
不在の桐島を中心に展開する、まるでゴドーみたいなお話。(ちょび噓)
脚本の見事さを堪能しませう。神木君すでに名優の風格。
唯一の欠点は
学校中にひとりくらいしかいないレベルの可愛い女の子がいすぎて
ちょっと変。
それを言ったら小津映画だって変だけどね。
また見よう。
4.『ゴスフォード・パーク』
階級社会というものを豪邸の主人/客側と使用人側でイヴェントを軸に見事に描き出します。
さっすがのロバート・アルトマン。
故人もお気に入りでした。
5.『円卓』
私にとって映画『円卓』と言えばこの子だ。
やっぱり主役はちょっびイヤだったりもするけれども
いいと思う、映画も。また観たい。
また観たいがいっぱいあって
これから観たいもいっぱいあって
人生で初めて長生きする気力を失っているのに
どうするんだよ、私。
6.『ヤクザと憲法』
ブログに書いとります。
がんばれ、東海放送ドキュメンタリー!
7.『鍵泥棒のメソッド』
こんなおもしろい映画とは思わなかった、のみっけもの。
私は広末涼子が好きじゃないけど、この広末はいいと思います。
あと、殺し屋がものすごくきっちりした人で
きっちりした人って素晴らしいなあと
感心してしまう。
この映画も脚本が見事。
8.『マリリンとアインシュタイン』
故人が好きだった映画。
一緒に観たかったよー、と泣きました。
だってオープニングの曲でもう、「この映画私も好きだろ」って思っちゃうのだもの。
ニコラス・ローグだもの、『地球に落ちてきた男』だもの。
唯一、ジョー・ディマジオはちょと違うんじゃないかいと。
やー、あのいかにもヤンキーな人も、あれはあれでいいのかもしれないけれども
どうしてもご本人と比べてしまって
あの基本寂しい感じがないのがちょっと……
まあ、観客はあれこれ言いたいこと言うものでして。
9.『ハリーの災難』
人を食った話です。
お金ないからって、煙草を箱ごと半分に切って
半額で買うし。
だいたいみなさん、死体を前にして反応おかしいよ。
カフカの『変身』的状況。
一方、色彩がすごく綺麗で
アメリカの田舎がすごく綺麗で
(『天才スピィヴェット』もそうだった。監督がアメリカ嫌いでアメリカじゃないところで撮ってますけど。)
シャーリー・マックレーン、めちゃ可愛い。
思えば、全盛期、ほぼ毎シーズン、ヒッチコックの新作公開されていたんだよねー。
小津だってそうだよねー。
今度はどんなだろうって、映画ファンはみんな、楽しかっただろうなあ。
10.『そこのみにて光輝く』
暗い映画です。
私にとってこの映画は菅田将暉(写真左)だなあ。
パチンコ屋でライターを借りただけの相手をしつこく「メシ食わしてやるよー」と自宅に誘う。その自宅が廃屋みたいな、小屋みたいなとこで、奥の座敷には寝たきりの父がいて、くだんのメシも、日が高くなって起きだしてきた姉が作ったチャーハンをフライパンごとバンとお膳に置く。
なんでこんな家に人を誘うのだろうって思いますよね。
でも、この子の独特の人懐っこさ
いきなり人の懐に飛び込むジャンプ力がそれを成立させてしまう。
それでいて、ひとつ間違えば人を殺しそうな気配もちゃんとあって
だから刑務所から出てきたばかりという設定も嘘くさくない。
菅田将暉を初めて見たのはNHKの朝ドラ『ごちそうさん』の杏の長男役で
学徒出陣か何かで母と別れる前夜のシーンがめちゃくちゃよくて
なんてうまいんだー、でも、こんなベタな昭和顔では
いくら演技力抜群でも今後主役級の活躍は望めまい
と勝手なことを思っていたらば
別人かと見紛う変身ぶりで大活躍。
というか、あのドラマのほうが昭和に作り込んでいたのかなあ。
光り輝く才能ですね。
このままどんどんいい仕事をしていかれますように。
次点『天然コケッコー』
確か主人公の女の子の一人称が「わし」
これがめちゃくちゃ可愛い。
オチもとっても可愛い。
もはやある種異次元ユートピアみたいな話なんだけど
どっかで『円卓』にも通じているよな気が。
こじつけかしら。